こんなところにパックテスト!? ~社会インフラの下水処理場で簡易分析が役立っている~

ユーザーインタビュー

私たちの生活になくてはならない上下水道。普段使用している”飲み水”やお風呂の水といった”生活用水”、トイレなどを使用した後の”生活排水”を川や海に流せるようにきれいにしている会社をご存じでしょうか。

そんな会社の一つが、今回取材させて頂く「株式会社ウォーターエージェンシー」様です!

今回は、浜松市(静岡県)様より受託されている細江浄化センター(下水処理施設)を訪問し、パックテストを活用している現場の声を聞いてきました。

細江町浄化センター入口
建物外観

※平成17年市町村合併により細江町浄化センターから浜松市細江浄化センターに変更

今回、インタビューに応じていただいたのは、寺尾さまと松下さまのお二人。

インタビューの様子(左から松下さま、寺尾さま)

Q.貴社について教えてください。

ウォーターエージェンシーは、水インフラ施設の運営管理とその関連事業など、「⽔」に関わる様々な事業を展開しています。

「公益」を最優先に、“何が必要か”、“どのようなサービスが求められているのか” を常に考えながら、全国各地の拠点で地域に根づいたサービスを提供しています。 私の携わる下水道施設の運営管理においては、半世紀以上にわたる経験とノウハウ、独自の研究開発の成果が大いに活かせているものと思っています。

Q.貴社の強みは何でしょうか?

当社は、全国で400カ所以上の上下水道施設を管理しています。強みとしては、これまでに蓄積してきた膨大な情報や最新技術(AIやIoT技術など)を活用し、その時々の最適化を実現させる仕組みを構築していることです。

また、「水を処理する」ことに関しては、単に綺麗にするだけでなく、省エネ対策や処理コストの縮減、季節に合わせた放流水質の調整など、時代のニーズや暮らしとの調和などに配慮した施設運営に取り組んでいます。

Q.日頃、ご使用いただいている弊社製品はどれですか?

当社では、水処理状況を把握する目的でパックテスト アンモニウム (WAK-NH4-4) とパックテスト 硝酸 (WAK-NO3) 、パックテスト 亜硝酸 (WAK-NO2) 、パックテスト COD  (WAK-COD-2) 、パックテスト りん酸(低濃度)  (WAK-PO4(D)) を日常的に使用しています。日々変動する水質状況をすぐに確認できるのが便利です。

※NH4、NO3、NO2、COD、PO4(D)は水の汚れなどが分かる項目です。

試験室に並べられた弊社製品

Q.寺尾さまの経歴・仕事内容を教えて下さい。

私は入社してから現在にいたるまでの28年間、下水処理に必要な水質分析や設備・機器の運転操作、水質トラブル対応などの仕事に従事してきました。現在は、浜松周辺地区の上下水道施設の運営管理を統括する浜松オペレーションセンターの水処理技術責任者です。

仕事内容は、管理下にある下水処理施設の管理状況を把握し、水質トラブルを未然に防ぐとともに、これまでに蓄積してきた経験やノウハウを後輩たちに伝えながら人材育成を行うことです。

Q.松下さまの仕事のやりがいは何ですか?

管轄している下水処施設で放流水質にトラブルが発生したときは、水処理技術責任者として水質改善を任されることがあります。

トラブル対応では、原因を特定し対策を立て実施しても、放流水質が改善するまでには時間がかかり、試行錯誤や苦労の連続となります。それでも、水質が改善したときには、安堵とともに大きな達成感が得られます。

これらを通じて、現場スタッフから頼られ、お客様に信頼していただけたと思ったときにはやりがいを感じます。後輩たちにも同じような経験をしてもらい、自分が感じた仕事の面白さを伝えていきたいと思います。

Q.お二人が仕事をする上で心がけていることはありますか?

下水処理は微生物の力により浄化するシステムなので、“彼ら”の生育環境を整えることが私たちの仕事だと考えています。微生物の種類や量がどうなっているのか、今後どのように変化するかを想像(妄想?)することが水処理の醍醐味です。後輩たちには、『微生物の気持ちになって管理しよう!』 と伝えています。

でも、実際に顕微鏡で微生物を観察すると、その状態が良くないことも多々あり、『私(微生物)の気持ちが分かっていない』 と言われている・・・なんてことが話題になります。

微生物たちは嘘をつきません。同じような環境下でも、わずかな運転条件の違いで処理状況が変わってしまいます。 そのため、良好で安定した水質を維持していくために、数値データーだけでなく、気づいたことなども事細かく記録し、微生物たちのわずかな変化を見逃さないようにしています。

Q.今後の水インフラ事業の展望は?

上下水道施設の運営管理は、常により一層の効率化が求められています。そのため、当社はセンサー情報をリアルタイムに反映して自動運転する『水再清ロボット®』というICT制御システムを構築・運用しており、また、豊富な情報を活かすAIの開発も進めています。

世界的にもトップクラスのクオリティーを誇る日本の水インフラですが、頻発する自然災害への対応や地球温暖化対策、少子高齢化に伴う労働力の確保など多くの課題に直面しています。 今後はこのような課題解決も含め、蓄積してきたビックデータを活かし、最新技術を駆使することで、水インフラ施設の運営管理のレベルを高めていきます。

Q.今後の目標を教えてください

お客様に信頼してもらえる人材の育成に力を入れていきます。そのため、研修やOJTの機会を増やし、技術はもちろんのこと仕事に対する意識や考え方もしっかり伝えます。私としては押しつけではなく、自ら興味を持ち、ワクワクする気持ちを持って仕事に熱中してもらいたいと思っています。

そのような中で身に付いた経験やノウハウがあることで、間違いなく大きな自信が得られると考えます。 まずはいろいろな処理方式、様々なトラブルに関われるよう、また、技術者間の交流を増やすなど、経験値が伸びるような職場環境を整えていきたいと思います。

寺尾さまより説明いただいている様子

~取材を終えて~

水インフラで業界のトップシェアを誇る『株式会社ウォーターエージェンシー』さま。

常に時代の変化や社会のニーズに応じた管理運営に取り組む姿は、企業理念の『すべては公益のため・社会にとって不可欠な存在を目指す』という一貫した考えに基づいていると感じました。そんな社会に必要不可欠な現場で弊社のパックテストが役立っていることを大変嬉しく思います。

今回取材させて頂いた“浜松”は私の地元でもあります。そこで働く社員の方々の情熱と、何よりも仕事に楽しみをもって働く姿に刺激を受け、各地域に根付く会社としてこれからも安心して水インフラを支えて頂けると実感しました。

現在、アジアの開発途上国を中心とする海外事業も展開しているウォーターエージェンシーさま。これからも各地の人々の生活を支える会社として、成長し続けて欲しいと思いました。

株式会社ウォーターエージェンシー』さまは、全国300ヵ所に管理拠点を展開し、官公庁・地方自治体向けに水インフラ施設の運転・管理をされている業界のパイオニア。 1953年に創業。今年で創業70周年と非常に歴史のある会社さまです。

浜松細江浄化センターの設備風景(自然に囲まれた場所にあります)