パックテストが使われる現場を知る~ニフレル編~               

ユーザーインタビュー

今回は販売代理店の株式会社ユーアイさま(所在地:大阪市北区)のご協力のもと、人気観光スポット「ニフレル」さまへ訪問してきました。

取材では、展示計画チームの中川さまと管理運営チームの田井さま(取材時)にお話を伺いました。

※田井さまは2023年7月より海遊館広報チームへ異動されました。

中川さま

共立)パックテストを使用するようになったきっかけについて教えてください。

田井さま)海遊館開業前の準備段階から導入されていたので、私が入社した時には既に水質検査に重宝されていました。

共立)パックテストを使用する場面について教えてください。

中川さま)ニフレルでは、魚の水質管理が特に重要なので、異常が見えていなくても月に1回は全水槽(予備槽も含めて)の水質チェックを行っています。チェックをすることで異常が見つかることもあるため、毎週1回ずつ測定日とエリアを決めて水質を測定します。さらに、生き物の調子が悪い時には毎日水質を測定しています。

パックテストを使用することで1回あたりの測定にかかるコストも抑えることもでき、手軽に使えるのでそこもまた良いです。

★ 主にアンモニウム、亜硝酸、BTB、硝酸の4項目を測定している。

測定の様子

共立)パックテストを使っていて、良かったと思うことはありますか?

田井さま)魚類を輸送する際に、その場ですぐに測定できることは本当に便利です。特にトラックやトレーラーでの長距離輸送ではとても役に立っています。
手軽に使えて正確な結果が得られるので、本当に助かっています。高知県土佐清水市にある海遊館の海洋生物研究所まで車で6時間から7時間かかる移動の際にも、すぐに検査できるという点は非常にありがたいです。

バックオフィスの様子

共立)水質管理などにおいて、苦労されていることはありますか?

中川さま)水質管理に関しては、海水が豊富に使えないこともあり苦労しています。測定しても数値として現れないのに、生き物の調子が悪いという状況に直面することがあります。見た目で問題の原因が分かれば良いのですが、何が原因なのか分からないこともあります。

共立)海遊館さまでは頻繁にオゾンの測定・確認をされているとお話を伺いました。ニフレルさまでの確認頻度が少ない理由を教えてください。

中川さま)ニフレルにはオゾンが入っている水槽が2つしかなく、データを取集し安全な水準に調整しているため頻繁な測定は必要ありません。

館内の様子 1
館内の様子 2

★ ニフレルの水槽の水は、全て人工海水。
★ 水槽の水は、全て中川さんが作られている。 

共立)目指している水族館の姿はありますか?これに向けて日々努力しているといった点がありましたら教えてください。

中川さま)「動物福祉を常に意識して向上させていく」という世界的な流れがありますが、動物福祉って簡単そうで実は難しいことだと思います。

要は動物の幸せを考えることなのですが、哺乳類などと比べると魚類の幸せを想像するのは難しい側面もありますね。

しかし、その想像が難しい中で魚の元気な状態とは?を常に考えています。
繁殖の成功や生まれた魚が無事に育つことは飼育が上手くいっている目安になります。
また、これらの飼育条件を解明することも自然で暮らしている魚たちの保護につながって行くと思います。

また、SDGsやマイクロプラスチックなどの環境問題にも全員が意識し、微力ながら取り組んでいます。水族館や動物園、そして「ニフレル」に来場される方には自然への興味や関心をさらに深めていただき、持続可能な未来に向けて考えるきっかけを提供したいと思っています。

私たちのような施設は、自然界の生き物たちがいるから、存在し続けることができています。
豊かな自然を次の世代に引き継ぐことができれば、一番良いなと思います。

インタビュー風景

田井さま)広報活動として、SNSでの発信にも力を入れています。毎年春には、和歌山県湯浅町の広川に遡上してくるシロウオを漁師さんから譲っていただいて展示していますが、「四つ手網漁」という伝統漁法で漁獲されており、その様子を現地から配信したり、マダガスカルとZOOMでライブ中継を行ったりしています。コロナ禍だからこその新たな試みもありました。

※シロウオは全身が透明なハゼの仲間

マダガスカル共和国は、「多様性の宝庫」と呼ばれるほど独自に進化した珍しい生き物が生息している場所ですが、実はそこで暮らすキツネザルの仲間の 9割ほどが絶滅の危機に瀕しています。我々が考えている以上に、地球の反対側の自然環境も危機的な状況にあることを知ることが重要です。

ニフレルには「ワオキツネザル」というシマシマのお猿さんがいることもあり、ニフレルと現地のネイチャーガイドの方とのZOOMによる交流を通じて、自然保護に対する意識を広げています。(参考:「WAO!マダガスカルオンラインツアー」)これらの取り組みを通じて、少しでも多くの人々に自然への関心を持ってもらいたいと考えています。

--------------

最後に、取材依頼を快諾いただいた中川さま、田井さま、そしてニフレルさまに心から感謝申し上げます。
共立理化学研究所の製品がニフレルさまの水環境保全活動に貢献できていること、お二人の目指す水族館の姿やお話を聞くことができたことは、非常に貴重な体験でした。ありがとうございました。

次回はお客様としてニフレルさまを訪れ、さらなる魅力を堪能したいと思っています。引き続き素晴らしい活動をされることを願っています。

記念撮影

中川さま、田井さまの簡単なプロフィール ------------

中川さま
現在はニフレルの展示計画チームに所属。
元々は海遊館で飼育担当を担っており、今までに担当した生き物はアシカやアザラシ、ペンギン、カワウソ、クラゲ、ジンベエザメなどと多種多様。
子供の頃から魚に興味があり、メダカなどを飼育していた。当時はディスカスやエンゼルフィッシュなどの熱帯魚が好きで飼育することに憧れを抱いており、熱帯魚屋さんへ魚たちを見に行って絵を描いて過ごしていた。


田井さま
海遊館に入社後、飼育や普及活動、水質検査を経験した後、広報を担当。2015年からニフレルの広報を担当、2023年7月1日からは再び海遊館の広報を担当している。
学生時代は、水産学を専攻。当時はフィールド調査などを行う機会が多く、水質研究はあまり行っていなかった。いかに無駄取りしない漁業の開発(一定の大きさ以上のものしか取らないように、網を作る研究など)を行っていた。

ニフレル」さまは、日本最大級の水族館「海遊館」を運営する株式会社海遊館が初プロデュースした従来の水族館とは大きく異なる美術館、博物館、動物観、水族館などが融合した体験型ミュージアムです。
大阪万博跡地に2015年11月開業しました。NIFREL(ニフレル)という名称は、「〜にふれる」に由来する。これは単に生き物とのふれあいを意味するのではなく、ここを訪れた人々の「感性にふれる」ことを意味しているとのことです。