簡易分析による水質管理とは…!?
現場分析が望まれた理由
水質の簡易分析法は、事業活動に伴い排出される水中の化学物質の管理・測定に広く用いられました。そして、昭和50年頃より化学薬品メーカーなどから簡易分析製品が多数発売されてきました。
今日では、化学物質を原材料や製品の中で取扱う多くの製造業では、工場から環境中へ排出される水や空気中に含まれる化学物質だけでなく、工程内で用いる化学物質も含めて適正な管理が求められています。
これは、法律やISOなどの遵守だけに留まらず、周辺住民とのコミュニケーション、資源の有効利用、自然環境の保全にもつながると考えられています。
そのような背景から常時、社内の化学物質に関する情報を正確に把握しておくこと、いつでも自社内で化学物質の測定を行えるような体制、そのためには、結果を迅速に把握することが優先される誰でも簡単に現場で分析ができることが望まれてきました。
簡易分析だからできることがあります
水質汚濁防止法や下水道法により罰則規定のある工場排水分析では、事業者にとって行政などの取締り側と常時同じ分析方法を行っていれば、水質結果については安心・安全と判断できます。
しかし、公定法でよく用いる原子吸光光度計やICP発光分析装置などの分析機器は高額(数百万~数千万円)です。前処理も含めて分析技術については専門的な知識が必要で、これらの分析機器の日常的な保守管理を含めると分析作業に要する業務の負担は大きくなってしまいます。特に中小規模の事業所にとって、自社ですべてを実施することは大変難しいことです。
一方、簡易分析法は、この煩雑な操作を省略することにより安価で、誰でも簡単に短時間に測定できるのが特徴です。
よって多検体の分析が可能になり、事業所の日常管理や時間毎の管理などの負担軽減につながります。
工程の想定外の事態や排水処理装置の故障やトラブルなどが生じれば、規制値を超えてしまう可能性があります。
月や週に1度の公定法による排水の測定に加え、簡易分析法による日常的な排水管理を実施している事業所は増えています。
迅速に得られる概略値により日常的に水質をチェックすることで、異常の早期発見や、対処が可能となります。
ただし、簡易分析法は、分析精度や感度は公定法と比べ、劣ってしまいます。
特に表面処理業(鍍金工場等)の排水では、錯化剤やキレート剤、排水処理で用いる酸化剤・還元剤・凝集処理剤などいろいろな化学物質が多く含まれていて、簡易分析法の妨害になっています。
簡易分析で測定できる項目は限定されます。これから事業活動で簡易分析法の採用を検討する場合、かならず公定法の結果と比較し、簡易分析法の測定値を検討していただくことが重要になります。
パックテストの効果的な使い方
さて、パックテストの反応の一例を紹介します。
6価クロムや残留塩素など、多くのパックテストでは、測定したい目的物質と反応試薬による化学反応により色素を生成し、その色素の色の濃淡により、目的物質濃度を目視により判断しています。
ここで生じる化学反応で重要な点は、以下の3つがあげられます。
- 検水の温度(水温)
- 反応時間
- 検水を吸い込ませた後の振り混ぜ方
この3点をできるだけ一定にすることで、より安定した結果が得ることができます。
そのほかにも、お問合せの中で発色時の色が標準色と違っているや、明らかに測定値が低い場合には、検水と試薬の反応後のpHが、使用法上に記載されているpH値と異なっている場合が多いことがあります。
以上のように、簡易分析法は、化学反応を利用しているため、ちょっとした「コツ」も必要となってきます。
判断に困るような場合は、弊社にお問合わせいただければ幸甚です。