名水の里、秦野の湧水を追う(後編)

前編では名水の概要について触れましたが、後編では実際に「秦野の湧水」スポットを巡ってきましたので、各スポットを写真とともに簡単にご紹介します。少しでも涼しさを感じていただき、ちょっとした探訪になれば幸いです。

秦野の名水

①竜神の泉(秦野市戸川)


丹沢山の登山口へ、水無川沿いに途中から車が1台しか通れないような狭い未舗装の戸川林道をのぼっていくと、滝とともに湧き水が現れる。登山口へ向かうルートでもあるため、登山客やこの水を求めて訪れる名水ファンもいる。ここで湧き出る冷たい水は、丹沢登山で疲れた身体と喉を潤す。

②葛葉の泉(秦野市菩提)


丹沢山登山口の途中に位置する湧水。葛葉川本谷の上流に位置し、森林セラピーのコースや沢登りスポットとしても人気の場所である。竜神の泉に比べると、道路も舗装されているため車でのアクセスもしやすく、水を汲みに来るファンも多い。

③護摩屋敷の泉(秦野市寺山)


丹沢山登山口の要所となるヤビツ峠の先にあり、登山やヒルクライムで疲れた身体に癒しをもたらすスポット。少々山奥にあるが、遠方から車で水を汲みに来るファンも多い。雨量が少ない影響か、時期によっては少し奥にある水場では湧き水がでていないこともある。

④田原ふるさと公園(秦野市東田原)


田園風景の広がる里山のなかに現れる田原ふるさと公園内でみられる湧水。敷地内には水車もあり水が豊富な場所を印象付ける。また、近くには鎌倉幕府の3代将軍、源実朝の首塚もある。

⑤井之明神水(秦野市曽屋)


曾屋神社境内にある名水だが、湿地化など事情で一旦埋められた過去も。復活を望まれる中、平成16年に再び湧出口を発見し、復活することとなった。道路を挟んだ正面には近代水道の発祥地として知られる曽屋水道の遺構も見られる。

⑥秦野名水(秦野市大秦町)


名水の里、秦野の玄関口小田急線秦野駅の北口に位置し、駅利用者や秦野を訪れる人々にとって気軽に触れることのできる身近な名水スポットとなっている。ポンプで汲み上げているため時間帯によって水が出ていないこともある。

⑦弘法の清水(秦野市大秦町)


「秦野の湧水」で最も有名なスポット。地下水汚染浄化と名水の維持活動のため官民一体となり取り組んだ結果、再び名水の里として復活した。

⑧まいまいの泉(秦野市今泉)


秦野市立南公民館の敷地内にある湧水。もともと地下水の水質の観測井戸として使用され、現在は、公共の水場として利用される。こちらも大きなタンクを持参し、水を汲みに来る人が多い、地元に愛される水。

⑨兵庫の泉(秦野市平沢)


住宅地のお豆腐屋さんの敷地内にある湧水。
京都をはじめ、上質な水が湧き出るところでは、豆腐造りや酒造りなど昔から水の恩恵を受けたモノづくりが盛んに行われてきた。

⑩ゆずりの水(秦野市平沢)


住宅街の中でひっそりとたたずむ出雲大社相模分祀。緑に囲まれた境内の中で静かに湧き出る。5月下旬~6月上旬には、ゲンジボタルが舞い飛び、綺麗な水質の証拠である。

⑪どうめいの泉(秦野市平沢)


住宅街のどうめい北児童遊園地の片隅で見られる湧水。こちらも観測井戸として使用されていたが、今ではここで遊ぶ子供たちが日常の中で名水に触れることができる。

⑫若竹の泉(秦野市千村)


30年前に地域の村おこしの一環として誕生し、周囲を緑に囲まれたのどかな里山の中で見られる湧き水。渋沢丘陵の室川源流にあたる山腹に掘られた横穴からパイプを埋設して、水を引いてきている。

番外編
⑬おいしい秦野の水(丹沢の雫)
 おいしさが素晴らしい名水部門第1位(環境省による名水百選選抜総選挙)に選ばれた秦野市の推すボトルウォーター。

⑭南アルプスの天然水
 言わずと知れた有名ミネラルウォーター。

⑮東京都の水道水
 都内のマンションから出る水道水。


南アルプスの天然水(左)とおいしい秦野の名水(右)を測ってみた。



硬度の特徴
硬度は、地形や地質、天候によって数値に大きく影響します。
日本のような島国で、国土が狭く、急峻な山々に囲まれている地形では、山間部に降った雨が地中に染み込んでも岩石や土壌の中で滞留する時間が短いことから溶出するミネラルの量は少ないです。一方、大陸にある国々(ヨーロッパや北米)では、なだらかな地形のため降った雨は、ゆっくりと地中にしみ込み、時間をかけて岩石や土壌と接触することによって、多くのミネラル分が溶け出します。この地形による違いやカルシウムが豊富な石灰岩のある地域など、地質的な特徴の違いも硬度に大きな影響を与えるとされています。

また、雨量の違いでも硬度が変わると言われています。一般的に雨水中にはCa2+やMg2+がないため、雨の多い季節は、雨水によって希釈され軟水になりやすく、雨の少ない季節はゆっくりと地下を滞留することによって硬水になる傾向があります。

今回の水質結果からも、丘陵地で見られる湧水では、硬度が低く、盆地内の湧水では高くなる傾向が見られました。

おわりに
自由研究や環境調査、環境教育などの目的で、今回のように身近なところの水質を検査してみるのも面白いかもしれません。目的に応じて測定項目を選定し、誰でも簡単に水質検査を行なうことができるのがパックテストの便利なところです。

興味があれば、だれでもできるパックテストで環境しらべ「ミネラルウォーターの硬度をしらべる」において、簡単な実験も紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
だれでもできるパックテストで環境調べ

スーパーに並ぶ日本と海外のミネラルウォーターの水質の違いを自宅で調べてみてはいかがでしょうか?
今回、巡った湧水スポットに限らず、自然の恩恵を利用しながら暮らしていく中で、次の世代にも残していけるよう今後も大切に守っていくことが大事です。

☞屋外での水質調査を実施する際、パックテストのチューブや抜いたラインなど、調査で使用した器具は、必ずゴミ袋に入れて持ち帰りましょう!

参考情報

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