パックテストりん酸(低濃度)を用いたプラスチック中難燃剤である赤りんの不具合判定方法

事例紹介 製品情報

電子・電気機器類中のプラグに含まれる、プラスチック中の赤りん系難燃剤は、コーティングを施していない場合、空気中の水分と接触することで化学変化により変質し、りん酸を生成します。
りん酸を生成すると、プラスチックは絶縁性が低下し、電子部品などの内部回路がマイグレーションやショートにより、発煙・発火するという事由が報告されています。
本方法では、熱水溶出液中のりん酸測定を行うことにより、赤りん系難燃剤の不具合判定ができます。

使用器具、試薬

  • 試料(削り出し方法やサイズはお客様でご判断ください)
  • 蓋付耐熱ガラス瓶(上記試料が完全に浸かるもの)
  • 純水
  • 恒温槽
  • パックテストりん酸(低濃度)(型式: WAK-PO4(D))
  • デジタルパックテスト りん酸(低濃度) (型式:DPM2-PO4-D)

測定方法

  1. 試料液の準備 ※1、※2
    (1) 蓋付耐熱ガラス瓶に一定量の純水を用意し、そこに試料を完全に沈める。

    (2) (1)を80℃の恒温槽で5時間放置する。
  2. 試料液中のりん酸濃度測定 ※3
    (1) 蓋付耐熱ガラス瓶を取り出し、溶出液を常温まで戻す。
    (2) パックテストりん酸(低濃度) 型式WAK-PO4(D)にて測定する。

    測定方法は、以下のリンク先の「使用法」をご参照ください。
    「パックテスト りん酸(低濃度)」の使用法は こちら
    「デジタルパックテスト りん酸(低濃度)」の使用法は こちら

    ※1 純水はできるだけ少ない方が良いです。
    ※2 試料片の削り出し方法やサイズ、および溶出温度・溶出時間などは、各社様の仕様にあわせてご判断ください。
    ※3 測定値は、溶出された液中のりん酸の濃度です。赤りんとしての測定値ではありません。不具合の判定基準等は、各社様で決定をお願いします。

注意

上記溶出方法は、独立行政法人製品評価技術基盤機構様(NITE)により紹介されている方法です。
「プラスチックの難燃化手法と難燃剤によるトラブル事例について」P.25
http://www.nite.go.jp/data/000088111.pdf
「ゴム・プラスチックの配合とサイレントチェンジの問題について」P.37
http://www.nite.go.jp/data/000082816.pdf